頚椎捻挫で12級認定、減収はなかったが、保険会社提示から約650万円増額した約1000万円を獲得した例
事故とケガの内容
依頼者(30代男性、公務員)は自動車運転中、センターラインオーバーの加害車に正面衝突される交通事故に遭いました。
依頼者は頚椎捻挫等のケガは重く、自賠責保険の後遺障害認定でも脊髄圧迫所見が認められる等の理由から12級の神経症状が認められました。
依頼の経緯
依頼者は自身の保険で弁護士特約をつけていたので、この先の保険会社対応や賠償に向けてということで、早期に当事務所にご相談・ご依頼をされました。
弁護活動
1 治療と後遺障害等級認定
治療を経た後、依頼者の神経症状(痛み、しびれ等)の後遺障害は12級と認定されました。
12級というのは末梢神経症状のうち最も重い等級です。本件の事故は非常に激しい事故であり、依頼者の頚部画像でも脊髄を圧迫している異常所見が見られ、異常部位としびれ発現部位が一致していたことが、自賠責保険がすんなりと12級を認めた理由でした。
2 相手保険会社の対応
そこで、12級を前提とした損害賠償額を示し、示談交渉に入りましたが、相手保険会社は事故後に依頼者に収入減少がないとして、後遺障害による逸失利益を認めない回答に終始しました。
具体的には、約1000万円の当方賠償請求に対し、約340万円の回答で、譲りませんでした。
依頼者は公務員(自衛官)であり、勤務に多少の支障が生じても給与が減額されるわけではなかったのです。
しかし、現実の業務遂行には大きな支障が出ており、特別の努力や職場内での配慮等により何とか業務をこなしていたのが実態でした。
3 訴訟提起
そこで、裁判所への訴訟提起の上での解決を目指すこととしました。
訴訟では、逸失利益についての双方の主張立証が繰り広げられた結果、最終的に裁判所和解案が示されるに至りました。
裁判所は、たとえ現時点において具体的な減収がなくても、仕事の内容から将来において事故前と同じように勤務できなくなる可能性が相当にあること、昇進や勤務継続の点からも将来の不利益のおそれがあること、依頼者の努力や周囲の配慮によって現在の勤務状況があること等を考慮して、現時点において具体的な減収がなくても、逸失利益を認めるとの判断を示しました。和解案でしたが、そのまま判決となるような相当に詳しい書面での提示でした。
双方とも裁判所和解案を受け入れ、約1000万円で裁判上の和解が成立しました。
結果
減収がなかったために保険会社の抵抗が激しかったものの、訴訟の結果、事前の保険会社提示から約650万円増額した約1000万円を獲得することができました。